第55章

林田浅子は関係をこじらせたくなかった。それは、皆をあまりにも気まずい状況にしたくなかったからだ。

結局、同じ会社で働いていれば、顔を合わせない日はない。

佐々木健と林田浅子が入ってくるのを見て、茂野にせは手に持っていたタバコを消した。

佐々木健は笑顔を浮かべながら、茂野にせの隣の席に座った。

「茂野さん、林田のデザインについてどう思われますか?私たちは非常に気になっているんです。もう、こんなに引っ張らないでくださいよ」

「何だって?待ちきれないのか?もう私との取引はやめるつもりか?」茂野にせの怒りが湧き上がってきた。

佐々木健はすぐに弁解した。

「茂野さん、誤解です。今日林田を...

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