第14章

夜、花籠。

古風漂う料亭の静謐で優雅な空間。

坂井晴美は扇子を手に持ち、緑色のドレス姿で姿を現した。彼女が個室の扉を開けると、中で茶を飲みながら談笑していた人々が一斉に立ち上がった。

灯りが彼女の姿を照らし出し、その白い肌が人目を引いた。高いスリットから覗く脚は白く真っすぐで美しい。

髪は簪で結い上げられ、前髪が額の傷を隠している。

一同はその姿に一瞬で魅了された。

「おや、これは坂井お嬢様じゃないか?」五十代ほどの男性が最初に声をかけた。

小林賢二、坂井弘樹の親友である。今日のプライベートな会食は小林賢二が主催し、業界の名だたる先輩たちが集まっていた。

「...

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