第20章

藤原恭介は眉をひそめ、彼女を見つめる眼差しは何の波風も立たないほど静かだった。

まるで彼女が策略に長けた卑劣な女だと黙認しているかのようだった。

坂井晴美の胸中は怒りと苦さが入り混じっていた。

もはや彼女は藤原恭介の心の中での自分の印象など気にしていないはずだった。

しかし、藤原恭介が幾度となく詰問してくることで、彼女は尊厳を傷つけられたような気分になっていた。

坂井晴美は淡く微笑み、苦々しく言った。

「あなたの目に私がそんなに卑劣に映るなら、おばあさまに私たちが離婚したと正直に打ち明けたらどうですか？」

「やめろ！」藤原恭介が一歩前に出た。

老婦人の先ほど...