第24章

この光景は、少し離れたところでエレベーターを待っていた藤原恭介の目に全て映っていた。

二人は談笑し、まるで恋人同士のようだった。

「晴美ちゃんも好きな人が見つかったみたいで、本当に嬉しいわ」隣で水原美佳が笑いながら言った。

その声を聞いて、藤原恭介の眼差しはさらに冷たくなった。

好きな人?

藤原恭介は視線を戻し、無表情でエレベーターに乗り込んだ。明らかに不機嫌そうだった。

水原美佳は彼を観察しながら、藤原恭介がとても不満そうに見えると感じた。彼からは何とも言えない圧迫感が漂い、彼女はもう何も言えなくなった。

藤原恭介が坂井晴美と離婚すると言い出してから、坂井晴美...

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