第38章

内藤健太は薬を買いに行った。

坂井晴美はベッドに横たわる男を見つめながら、目の奥に一筋の嫌悪感が閃いた。

彼女は手を上げて藤原恭介の腕を軽く叩き、不満げな口調で小声で呟いた。

「高校時代から自分の面倒も見られないで、今じゃもう二十代なのにまだこんな調子。ほんと、心配かけるんだから!」

しかし藤原恭介の真っ青な顔を見ると、坂井晴美はため息をつき、目には心配の色が広がっていた。

坂井晴美は病床の傍らに寄りかかり、腕を組んで藤原恭介の顔をじっと見つめていた。

もう二度とこうして藤原恭介に付き添う機会はないだろう。

そう思うと、坂井晴美は思わず苦笑してしまった。

「...

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