第39章

藤原恭介は目を覚ました。彼は一度唾を飲み込み、息が荒い。

「俺……」

「恭介……」

病室の入り口から、突然、水原美佳の声が聞こえてきた。

坂井晴美は反射的に藤原恭介から身を離し、すぐに姿勢を正して入り口の方を見た。

水原美佳は下唇を噛み、右手には弁当箱を提げていた。彼女は坂井晴美を見つめ、その瞳には明らかな敵意が光っていた。

坂井晴美は二歩後ろに下がり、淡々と言った。

「水原さん、誤解しないで。藤原さんは私をあなたと勘違いしただけよ」

「そう?」水原美佳は坂井晴美を横目で見た。

彼女は坂井晴美の言葉を信じるだろうか?

水原美佳はベッドに横たわる藤原恭...

ログインして続きを読む