第58章

すぐに電話から母の声が聞こえてきた。

「美佳ちゃん、その杜仲って一体どんな形をしているの?早く家に持って帰って見せてちょうだい!」

「美佳ちゃん、これで水原家はさらに上のステージに進むわよ!!友達みんなから電話があって、杜仲を見せてもらえないかって聞かれているのよ!」

水原美佳は複雑な表情を浮かべ、ゆっくりと片手で額を押さえた。

まずい、この話が大きくなりすぎたみたい。

どうしたらいいの?!

水原美佳はスマホをマナーモードにして脇に放り投げた。空っぽの個室を見つめながら、この部屋で二度も相手に現れてもらえなかったことを思い出し、怒りがこみ上げてきた。

くそっ!

...

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