第16章 先に仕掛けた方が悪いん

佐藤葉月が出てきて佐藤夏子に野菜を炒めるよう呼びかけたことで、入ってきたばかりの数人はみな一瞬戸惑った。

時田陽介たち三人は揃って佐藤夏子の方を見た。

佐藤葉月の口ぶりからすると、佐藤夏子とかなり親しいようだった。

しかも、どこか強引な感じさえ漂っていた。

佐藤夏子は呆れた顔で佐藤葉月を見た。「それが人に頼む態度?」

「あなたは何様のつもりで、私に野菜を炒めろって言ってるの?」

佐藤葉月は言葉に詰まった。「僕は!」

彼はもともと当然兄という立場だと言おうとしていた。

しかし佐藤夏子の冷たい瞳を見て、言葉が出なくなった。

しかも悠ちゃんが来る前に、佐藤夏子との関係を明かさない...

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