第33章

赤木玉里は違った。彼女は深いジレンマに陥っていた。加藤龍平に来てほしいという気持ちと、来られたら危険になるのではという不安が入り混じっていた。

彼女の唯一の望みは、加藤龍平がメモを見て、自分と加藤大輔が長時間戻らないことに気付いて、すぐに警察に通報してくれることだった。

しかし、その時加藤龍平は思いがけず中村玲子と関わることになっていた。

本来なら加藤龍平はバイオレットカラオケに向かうはずだった。だが、廃墟となった別荘地で藤田軍たちを再び痛めつけ、高橋義信のことまで白状させたため、もはや行く必要もなくなった。藤田軍は完全に降参したようだった。

今彼が考えなければならないのは、高橋義信...

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