第11章

二人は沈黙した。

そんなことができるのは、榎田神也ただ一人だろう。

長い沈黙の後、林田涼子は疑問を呈した。「榎田神也はどうやって知ったの?どうするつもり?」

「榎田神也が何も言わないなら、知らないふりをするわ」

前回のことがあった後、篠崎アエミは榎田神也にどう接したらいいのか本当に分からなくなっていた。

このまま何も知らないふりをするのが一番だ。

林田涼子はうなずき、嬉しそうにオーダーの整理に戻った。

以前キャンセルされた注文が戻ってきただけでなく、追加注文まで入っているのだ。

今回は災い転じて福となったようだ。

篠崎アエミがぼんやりしていると、携帯の着信音が鳴った。

発...

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