第14章

先日、中村翔が招待状をほしがっていたときも彼はそばにいたのに、まさか最後に林田涼子に渡すとは思わなかった。

中村翔は言葉を聞いて「ああ」と短く返事をした。

彼には分かっていた。無憂先生のデザインは有名デザイナーに劣らないことを。

ただ名声がないだけだ。もし名が知れ渡れば、無憂スタジオは必ず前途有望になるだろう。

そのとき榎田神也が立ち上がった。「俺、先に帰るよ」

帰り道、彼は鈴木芽衣から電話を受けた。

電話の向こうで、鈴木芽衣は興奮した様子だった。「神也、ファッションパーティーの招待状をもらったの」

「今回のディナーパーティー、一緒に行こう。運がよければ無憂に会えるかもしれない...

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