第30章

冷たく刺すような声が、少し嘲笑を含んでいた。

篠崎アエミは全身を震わせ、反論した。「馬鹿な!中村景は?なぜあなたが中村景の携帯を持っているの?」

「ふん!」

電話の向こうで、冷笑が聞こえた。

篠崎アエミは我慢して尋ねた。「彼に用があるの。どの部屋にいるの?」

「いいよ!ナビを送ってあげる!」

プップップ。

電話が切れた。

すぐに、申請が届いた:位置情報の共有。

承認をタップ。

地図を見て、篠崎アエミは眉をひそめた。

彼女は幼い頃から方向音痴で、地図を見るのは天書を読むようなものだった。

幸い、コンパスもあったので、その指す方向に従って探し始めた。

あちこち曲がりなが...

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