第36章

二人の監督の言葉については、篠崎アエミには知る由もなかった。

部屋に戻った彼女は疲れ果て、ベッドに横たわったまま動く気力もなかった。

林田涼子はそんな彼女の様子を見て、舌打ちをした。

「あの男って一体何考えてるの?本当に浮気性ね、あなたにまで...」

「どうせ離婚するし!関係ない人だよ」

篠崎アエミは明らかに榎田神也の話を聞きたくなかった。ちょうどお風呂に入ろうとしたその時。

携帯が鳴った。

ちらりと画面を見る。

篠崎アエミは激怒した。

「この野郎!」

「どうしたの?」林田涼子は好奇心に駆られて顔を近づけた。

「こんな状況なのに、朝ごはん作れって言ってるの?」

遠慮の...

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