第37章

「見知らぬ男とキスするなんて!あなたみたいな淫らな女にしかできないことよ!」

怒りに任せて口が滑った。

鈴木芽衣は篠崎アエミの耳元に近づき、「あなたただのデザイナーに過ぎないわ。私があなたを潰すのは蟻を踏み潰すのと同じくらい簡単なことよ!」

「そう?じゃあ、試してみたら?」

篠崎アエミは彼女を冷ややかに一瞥すると、キッチンに入り、ドアを閉めて外の視線を遮断した。

はぁ!

ドアに背を預け、ゆっくりと体を滑り落とす。

浮気相手に指を突きつけられて罵られる。

彼女はきっと最も惨めな正妻だろう。

鈴木芽衣がこんな行動に出たのは、単に危機感を感じたからに違いない。

でも、なぜ?

...

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