第39章

「あっ……降ろして!」

熱い息が顔にかかり、篠崎アエミは全身の力が抜け、彼の胸に手を押し当てながら必死にこの抱擁から逃れようとした。

榎田神也の腕はさらに力強く彼女の腰を抱き締めた。

彼は彼女を抱えたまま一室に入り、足でドアを閉めた。

「あなた!」

榎田神也が腕の力を緩めた瞬間、篠崎アエミは抱擁から逃れて走り出そうとしたが、一気に引き戻されドアに押し付けられた。

「そのマスク、顔に生えてるのか?」

男は揶揄うように言い、指で彼女の顎を持ち上げた。

篠崎アエミは青ざめ、慌てて手で顔を覆い、恐怖に満ちた目で「あなた一体何がしたいの?さっきは鈴木芽衣が先に私たちに絡んできたのよ!」...

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