第51章

束の間のうちに、篠崎アエミの体はすっかり力が抜け、ベッドに倒れ込んだ。

海藻のような美しい髪が乱れて広がり、サングラスとマスクを着けていても、榎田神也はその小さな顔が紅潮している様子を想像できた。

彼の大きな手が彼女の胸元を這い、罰を与えるように一度つまんだ。

「覚えておけ。これからは他の男に触れるな」

「あなた…」

篠崎アエミは彼の大きな手を力強く払いのけた。

「離れてよ!」

ブーブーブー。

携帯の着信音が鳴った。

榎田神也は一瞥して電話に出た。

「どうした?」

「神也!」

甘ったるい声が電話の向こうから聞こえてきた。

榎田神也の表情が変わり、電話を持ってバルコニ...

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