第54章

ライブ配信が終わり、人々は一斉に散っていった。

篠崎アエミはインスピレーションを求めて、パソコンを手に屋敷内を散策し始めた。

昼間に屋敷を歩くのは初めてで、美しい景色が至る所に広がっていた。

今日の水墨画も、ふと思いついたものだった。

長年筆を持たなかったため少し勘が鈍っていたが、基本的な技術はまだ残っていた。

遠くにバラの花を見つけると、彼女の目が輝き、すぐに駆け寄って携帯で記録し始めた。

「わぁ、この花たち、なんて綺麗なんだろう!」

どの花も極上品で、値段もかなりのものだった。

撮りきれない、全然撮りきれない。

篠崎アエミは携帯を手に大忙しだった。

だが、その楽しい気...

ログインして続きを読む