第56章

終わった!

終わった!

二人は長年同じ布団で眠ってきた。

お互いをよく知り尽くしている。

篠崎アエミは覚悟を決めて目を閉じた。正体がばれたと思った瞬間。

かすれた声が再び響いた。

「この唇、見覚えがあるような気がする」

宙に浮いていた心が胃の中に落ちた。

篠崎アエミは目を開け、唇の端に嘲笑を浮かべた。

「女の唇なんてどれも似たようなものよ」

「そうか?この口は生意気だな。罰を与えるべきだ」

言葉が終わらないうちに、彼ののどぼとけが上下し、直接唇を重ねてきた。

唇と歯が絡み合う。

篠崎アエミは彼の横暴で濃厚なキスを強いられた。

最初、彼のキスには少し挑発的な要素があ...

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