第7章

ほんの数秒のうちに、相手から電話がかかってきた。

「篠崎アエミ、今日は市役所に行くって約束したはずだろ、どこにいるんだ?」電話から榎田神也の声が聞こえ、怒りを含んでいた。

篠崎アエミは自分が悪いと分かっていたので、おどおどと説明した。「今日はちょっと予想外のことがあって、市役所に行く途中で追突されたの。相手は無免許運転で...」

彼女の言葉はまだ終わっていないのに、榎田神也に遮られた。

「篠崎アエミ、嘘をつくにも限度があるだろ?今時、無免許運転なんてする奴がどこにいる?」榎田神也の口調には苛立ちが満ちていた。

電話越しでも、篠崎アエミは彼の表情を想像することができた。

「時間を約...

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