第1章

「ゆめこ……ゆめこ……」

裸で絡み合う二人の体は、本来なら艶めかしい極みのはずだが、男がその名を呼んだ瞬間、空気は凍りついた。

湯川優は城田景行の首に腕を回し、彼の太くて硬い肉棒が自分の中で出入りする感覚を味わいながら、声を押し殺し、一筋の涙が目尻から流れ落ちた。

城田景行は彼女の感情に気づかず、両手で彼女の胸を揉みしだき、指先で乳首をかすめ、強く摘まむと、下の女性は息を詰まらせた。

湯川優は赤い唇を僅かに開き、息を吐き出す。激しい快感が彼女の意識を粉々にしそうだった。

「城田景行……城田景行、子供を作りましょう」

男は一瞬固まり、彼女の両脚を持ち上げ、容赦なく挿入し、口を開けて彼女の乳首に噛みついた。「湯川優、お前に俺の子を産む資格はない!」

城田景行の澄んだ瞳に冷たい色が閃いた。彼はさらに激しく下の女性を責め立てた。

毎回、彼は根元まで抜き、そして湯川優の腰を押さえつけ、激しく挿入し、最奥まで届かせ、湯川優の敏感な体を快感の虜にした。

彼女の声は途切れがちで、目尻は紅く染まり、うっとりとした目が城田景行の唇に落ちた。彼女はゆっくりと体を起こし、近づいた。「城田景行、私にキスできる?」

結婚して五年、最も親密なことはしても、唯一キスだけはしなかった。

城田景行の目に嫌悪の色が過ぎり、表情は暗くなった。彼は彼女の顔を見ることさえ厭うように、彼女を裏返し、覆いかぶさり、後ろから入った。この体勢で、彼のものはさらに深く入り込んだ。

湯川優は顔を枕に埋め、目に宿る愛情を隠した。

男は彼女の上で最後の激しい動きを続け、猛烈な後に解放される瞬間、冷たい声が聞こえた。

「湯川優、離婚しよう」

体の上の紅潮がまだ引かないうちに、湯川優の顔は一瞬で青ざめた。

彼女は困惑して彼を見つめた。「何て言ったの?」

城田景行は彼女の体から抜け出し、無造作にテーブルから二つの書類を取り、彼女に渡した。「ゆめこが妊娠した。彼女に名分を与える必要がある。だが離婚後も俺はお前の面倒を見る」

湯川優は震える手で書類を取った。一つは離婚協議書、もう一つは愛人契約書だった。

愛人……

結婚五年、高嶺の花に名分を与えるために、彼女を愛人にするつもりなのか?

「城田景行、理由を教えて」湯川優の声は震えていた。

「ゆめこが妊娠して、状態があまり良くない。彼女に安心感を与えなければならない」若林夢子について話すとき、男の口調は何度も優しくなった。

これこそが彼が心の奥底で大切にしている高嶺の花だった。

湯川優の心は一瞬で千々に乱れた。

五年の結婚生活は、実際にはとうの昔に形骸化していた。そもそも、この結婚は彼女が強引に求めたものだった。

湯川優はゆっくりと顔を上げ、手で優しくお腹に触れ、赤い唇を震わせた。「城田景行、もし私も妊娠していたら、それでも離婚する気?」

城田景行は冷たい目で彼女を一瞥し、確信を持って言った。「湯川優、お前が俺の子を宿すことはない」

湯川優の心に細かな痛みが走った。彼女は目を揺らめかせ、とても冷静な口調で言った。「わかったわ、離婚に同意する」

彼女はすっぱりと離婚協議書に署名した。城田景行の資産の半分が彼女に分配されることになっていた。若林夢子のためなら彼は十分寛大だった。

残りの愛人契約書については、一目も見ずに、手に取るとさっさと細かく引き裂いた。

彼女がこれほどあっさりと引き下がり、しがみつかないのを見て、城田景行は少し驚いた。

湯川優は床に散らばった紙切れを見つめ、まるで自分の砕け散った青春を見ているようだった。

かつて城田景行が政略結婚の相手を必要としていた時、彼女は家族全員の反対を押し切り、迷わず彼に近づいた。

誰もが彼女が城田家の財力目当てだと思っていたが、誰も知らなかった。彼女は実は青春のすべてを彼に片思いしていたのだ。

しかし結婚式の当日、若林夢子は怒りのままに出国途中で事故に遭った。

そして彼女は、城田景行が結婚式場を去るのをただ見つめるしかなく、どんなに懇願しても無駄で、J市全体の笑い者になった。

この結婚生活を振り返ると、まさに散々たるものだった。

湯川優は深く息を吸い、床から自分の服を拾い、一つずつ着ながら尋ねた。「手続きはいつする?」

彼が予想していた激しい怒りや問い詰めはなく、彼女の潔さに彼の胸は詰まった。「本当にこのまま去るつもりか?」

湯川優はうなずき、冷たい目で言った。「他に何があるの?まさか若林さんと私が同じ男を共有しろっていうの?」

城田景行の眉間にしわが寄り、嫌悪感を露わにして言った。「湯川優、ゆめこのことを冗談にするな。もう一言言ったら出ていけ」

湯川優は自嘲気味に唇を歪め、直接言った。「言われなくても、自分から出ていくわ」

城田家での彼女の持ち物はそれほど多くなく、一つのスーツケースにすべて収まった。

しかし出かける時、妊娠検査の報告書がバッグから落ち、城田景行の前に落ちた。そこには明確に湯川優が妊娠していると書かれていた。

城田景行の目は次第に冷たくなり、嘲笑的な口調で言った。「湯川優、この妊娠検査報告書は何なんだ?離婚を避けるためにこんな手段に出るとは思わなかった」

湯川優の体は固まり、振り返って城田景行を見つめた。

男は直接妊娠報告書を彼女の顔に投げつけた。

湯川優は城田景行の冷笑を思い、わざと眉を少し上げ、無造作な態度で言った。「偽物だったらどうなの?結婚五年、私たちの関係はずっと冷たかった。もし妊娠を装って関心を引けるなら、私の勝ちよ」

彼女は何気なく言いながら、床の報告書を拾い上げた。心の傷が無限に広がり、血を流していた。

彼女は顔を上げて城田景行を見た。男の口元には冷笑が浮かんでいた。「湯川優、俺はお前を見くびっていたようだな」

湯川優は弁解しなかった。この妊娠検査報告書が本物だとは言えなかった。

「城田景行、離婚手続きの時間が決まったら、また連絡してね」

言葉が落ちると、湯川優はスーツケースを引いて城田家を去った。

彼女は振り返り、5年間暮らした場所を見た。頭の中には特別に嬉しい思い出もなかった。

いつも待つだけ、期待するだけ。

彼女は毎日、城田景行がいつ帰ってくるか、家にどれだけいてくれるかを考えていた……

湯川優の心は酸っぱく痛んだ。これほど長い間の献身と待機、彼は何も見ていなかった。結局、彼女は自分自身を感動させただけだった。

彼女は身を翻してタクシーに乗り込み、ずっと抑えていた感情が突然心の中で爆発し、涙が激しく流れ落ちた。

親友の松本佳木の家に着いたとき、彼女の目はすでに泣きはらしていた。

松本佳木は彼女がすでに離婚協議書にサインしたことを知り、驚愕した。「どうして?五年も一緒にいたのに、彼はなぜ……」

湯川優は落胆した口調で言った。「若林夢子が妊娠したの」

松本佳木の言葉は瞬時に途切れた。

彼女は湯川優を抱きしめ、低い声で慰めた。「大丈夫よ、五年経っても彼の心を温められなかったなら、別の人を見つければいい。あなたはこんなに素晴らしいのに、愛してくれる人がいないなんてことあるわけないじゃない」

「ちょうど会社で新しい香水の開発が始まるから、参加してみたら?気分転換になるわよ」

湯川優は松本佳木の胸に寄りかかり、軽くうなずいた。

彼女はゆっくりとお腹に手を当て、心は悲しみに包まれた。赤ちゃん、これからはママだけがあなたの味方よ。

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