第20章
本当に彼だったんだ、私の思い違いではなかった。
手を上げて、挨拶すべきか迷った。
しかし玖珂智はすでに背を向け、後ろ姿だけを残していった。
まあいいか!
こうなったら、挨拶するかどうか悩む必要もない。
彼の毒舌に苦しむこともなくて済む。
気持ちを整理して、ゆっくりと揺られながら家に帰った。
家に着いた頃には、もう夕暮れが迫っていた。
街は車で溢れ、街灯が灯り始めていた。
途中、藤原純から電話があり、いつ帰るのかと尋ねられた。
私は冷たく言い返した。「あんたに何の関係があるの?遅くなりたければ遅くなるし、暗くなっても帰らないかもしれないわ」
藤原純が川崎志乃と喧嘩でもした...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章

4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章

12. 第12章

13. 第13章

14. 第14章

15. 第15章

16. 第16章

17. 第17章

18. 第18章

19. 第19章

20. 第20章

21. 第21章

22. 第22章

23. 第23章

24. 第24章

25. 第25章

26. 第26章

27. 第27章

28. 第28章

29. 第29章

30. 第30章

31. 第31章

32. 第32章

33. 第33章

34. 第34章

35. 第35章

36. 第36章


縮小

拡大