第30章

私が再び目を覚ますと、見知らぬようで何処か懐かしい部屋にいることに気づいた。

見知らぬというのは、一度も来たことがないから。

懐かしいというのは、この色使いや配置が何処かで見たことがあるような気がしたから。

そうだ、玖珂智の部屋の雰囲気に似ている。あの時、彼が私の家に住んでいた時も、こんな風に配置していた。当時は若いのに、こんなに古風な趣味で、白か黒かしかないなんて笑ったものだ。

でも、彼のはずがない。

前回、両親の墓地で会った時の彼のあの眼差しからすると、もう私のことなど関わりたくないはずだ。

それに、どうして偶然玖珂智に出会うなんてことがあるだろう。

玖珂智という人は毒舌だ...

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