第17章 ただのアルバイト

水原寧々は隠し立てせず、川崎静の意図を見抜いていた。川崎静の望み通りにし、同時に高橋長明の気持ちに区切りをつける好機と捉えた。

水原寧々のあまりにも率直な態度に、佐藤幸子は状況を挽回する余地さえなかった。

高橋長明は佐藤幸子を見て、目で「これはどういうことだ」と尋ねた。

これまで佐藤幸子も水原寧々の結婚については何も明かしていなかった。

佐藤幸子も困ったような表情を浮かべた。水原寧々の電撃結婚は彼女自身も最近知ったばかりで、部外者として話すのも適切ではなかった。

テーブルを囲む面々は互いに顔を見合わせ、奇妙な雰囲気が漂っていた。みんな高橋長明の反応を窺っていた。

高橋長明はグラス...

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