第28章 億万社長が恥をかいた

藤原修一は最初反応できず、マスクを手に持ったまま呆然と水原寧々を見つめていた。

「あまりにもイケメンだから、女の子たちが近づけなくて、私の商売にならないじゃない」と水原寧々は苦笑いしながら言った。

その言葉が少し傷つけるかもしれないと気づき、誤解されないように付け加えた。「あなたを責めているわけじゃないのよ。美しいものほど、人は仰ぎ見る姿勢で接して、冒涜する気持ちを持てないものなの。こんなにハンサムな夫が他の女の子に狙われたら、私、大損するわ」

外部の人への必要な紹介以外では、水原寧々が「夫」という言葉を自ら口にしたのはこれが初めてだった。

藤原修一は心の中で不思議と喜びを感じ、マス...

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