第11章

部屋の中で、秋山棠花は藤原爺さんと話していた。「お爺様、ただいま。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」

藤原爺さんは彼女を心配そうに見つめた。「あなたと光弘のことは全部聞いた。あの愚か者が何をしでかしたかもな。この数年間、あなたがつらい思いをしながらも大局のために我慢していたことも知っている。本当にすまなかった」

秋山棠花は首を横に振った。お爺様にこれ以上辛い思いをさせたくなかったので、詳しく説明することはしなかった。

秋山棠花が黙っているのを見て、藤原爺さんはさらに胸が痛んだ。「棠花、安心しておくれ。この家ではまだわしの言葉が通る。最初に婚約を結んだのはあなたと光弘だ。あなた以...

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