第21章

田中家

秋山棠花の部下に捕まえられて懲らしめられた田中美咲が帰宅し、事の顛末を話し終えたところだった。

田中当主は思わず顔色を変え、電話をかけた。

その場で夜遅くにも関わらず家族会議が招集された。

二時間後、書斎の扉が開き、田中家の名のある有力な叔父たちと、普段あまり外出しないお爺様が揃って険しい顔で出てきた。

田中美咲はようやく事態の異常さに気づいた。

秋山棠花は単なる普通の人間ではないかもしれない。

彼女のバックには、田中家でさえ手を出せない存在がいるのだ。

しかし彼女はまだ一縷の望みを抱いていた。ここは安市だ。どんなに勢力があっても、藤原光弘を超えることができるのだろう...

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