第25章

「私は藤原光弘の妻ですが、彼はどこにいますか?」

秋山棠花は時間がなく、関係のない人に無駄にしたくなかった。

「妻?」

この一文字だけで受付の女性は笑いだした。「あのですね、お客様。藤原様のプライベートな事情を調べてから来られた方がいいんじゃないですか?藤原様の奥様はたった今、愛情たっぷりの朝食を持って上がられましたよ……あなたは一体何様なんですか?」

「愛情たっぷりの朝食?」

秋山棠花は冷ややかに笑った。

想像するまでもなく誰だか分かっていた。

藤原光弘は昨日まで離婚しないでくれと必死に頼んでおきながら、今日は別の女と会社で派手に遊んでいるというわけだ。

彼の厚顔無恥ぶりが...

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