第32章

藤原家と安田家は元々、近海のある小島の所有権を共同で獲得し、娯楽と休暇を一体化させた安市の独自のランドマーク施設を作る計画だった。

企画案が発表されるや否や、藤原家の半数近くが賛成票を投じた。

しかし今、安田豊文が重病で入院し、さらに南部というよその土地に進出したことで、株価は一時低迷していた。

現在の藤原家はこの窮地から脱出するために、局面を安定させる強力なパートナーが必要で、その海上の小島プロジェクトが最適な足がかりとなっていた。

他の人には見えないかもしれないが、秋山棠花にはその問題点が一目で分かった。

「皆さんもご覧の通り、藤原家は我々が資金を出して小島を手に入れるのを...

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