第37章

藤原の言葉は耳に痛かったが、秋山棠花の心には確かに響くものがあった。

確かにこの金額は安田家にとっては大したことではない。

しかし、このネックレスは祖父から贈られた嫁入り道具であり、意味が違う。彼女にとって大切なものだった。

彼女は今夜、おじさんと一緒に藤原光弘を出し抜いたことを認めていた。

安田家が簡単に手を出せる相手ではないということを彼に教えたかったのだ。

だが、彼がネックレスを競り落としたのは秋山柔子のためではなかったとは意外だった。

さっきパーティー会場で、彼女ははっきりと見ていた。藤原光弘がこのネックレスを競り落とした時、秋山柔子の目は輝いていた。

まるでその場でさ...

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