第45章

安田時也は言い終わると、記者に一瞥を送りながら眉を上げた。「これからどうすべきか、教えなくても分かるよね?」

記者は何度も頷き、もはや少しの不敬も示す勇気はなかった。

冗談じゃない、あの男は一度も敗訴したことのない弁護団を手下に持つ人物なのだ。

彼が言うことを聞かなければ、自分だけでなく会社まで巻き添えを食らうかもしれない。

「安田さん、余計なことをお聞きしてもよろしいでしょうか。おっしゃった藤原光弘とは、もしかして安市の藤原グループ社長、藤原社長のことではないでしょうか?」

少し大胆なメディア関係者が近寄って小声で尋ねた。

主にその名前が聞き覚えがあるからだが、この離婚騒動と藤...

ログインして続きを読む