第52章

「それと、若奥様の過去についても引き続き調査を続けてください。あらゆる手段を使ってでも」

高橋久弥は頷いて、「かしこまりました」と応じた。

藤原光弘が指示を出し終えるとすぐに、友人の佐倉直樹から電話がかかってきて、一緒に出かけようと誘われた。

「仕事ばかりじゃロボットと変わらないぞ」

藤原光弘は秋山棠花の突然の行動に気分を害していたところだったので、すぐに承諾した。

新しくオープンした西洋料理店で待ち合わせることになった。

レース以来、二人は数日連絡を取っていなかった。佐倉直樹は白いカジュアルウェアに身を包み、前髪が眉間に垂れ、まるで大学生のような風貌だった。

一方の藤原光弘は...

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