第170章

「実は違うんです。この前病院のカフェでコーヒーを飲んでいたら、偶然塙町さんと彼のお母さんに会ったんです。お母さんが彼に彼女を見つけるよう急かしているようでした」

水原優子は言い終えると、至って平然としていた。

平井詩織はそうではなかった。彼女はそれを聞くなり、すぐに爆発した。

「ええっ!優子ちゃん、自分の運がめちゃくちゃいいって思わない?超ラッキーじゃない!」

「どうして?」

水原優子自身はそう感じていないようだった。

「だって、私たちがこの病院に来てまだ数日しか経ってないのに、私たち以外の多くの人は塙町さんに一度も会えてないのよ。なのに優子ちゃんは既に二回も会ってるじゃない。し...

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