第29章

二人とも感電したかのように手を引っ込めた。

水原優子も少し正気に戻り、先ほどの甘いスープに何か薬の匂いがあったことを思い出した。

お腹の赤ちゃんが心配で、何か影響がないか不安だったが、特に変わった感覚はなかった。彼女のお椀に入れられた薬の量はそれほど多くなかったのだろう。

「あっ、久志!」水原優子がお腹の様子を確かめていると、佐藤久志が突然彼女を抱きしめ、パジャマを引き裂いた。彼女は驚いて思わず大声を上げた。

部屋の激しい物音が、かすかに階下まで聞こえていた。

小笠原陽子の顔に浮かぶ笑みはさらに深くなり、少し恥ずかしそうな表情も見せた。

まさか自分の息子がそういうタイプだとは。や...

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