第36章

「申し訳ございません、お嬢様。大変失礼いたしました。大丈夫ですか?」ウェイターは慌てふためいて水原優子を見つめた。

彼女のスカートも大きく濡れ、手は火傷で真っ赤になっていた。

「大丈夫です」水原優子は首を振り、急いでレストランを後にした。

林田紀明が水原優子を病院に連れて行こうと追いかけようとしたとき、焦りの表情を浮かべた佐藤久志とばったり出くわした。

「水原優子はどこだ?彼女どうしたんだ?」

佐藤久志はさっき物音を聞いて振り向いた時、水原優子が慌てて走り去る姿を目にしていた。

彼は心配になり、太田沙耶香を置いて飛び出してきたのだ。

「奥様が誤って火傷をされました」林田紀明は事...

ログインして続きを読む