第43章

慰めのつもりだったのに、彼女は自分自身さえ慰めることができなかった。

涙が、すべて佐藤久志の服に滴り落ちた。

おそらく涙があまりにも多かったのだろう、すぐに包帯を濡らし、彼の傷口に染み込んでいった。

佐藤久志の背中の傷口からは、すぐに赤い色が滲み出し、血の筋が白いシャツを通して染み出してきた。

だが、誰もそれに気を配る余裕はなかった。

どれほど待ったか覚えていないが、「救急処置室」のライトが消え、医師が出てくるまで。

全員が素早く前へ駆け寄った。

佐藤久志が最初に口を開いた。「先生、おじいさんはどうですか?」

いつもは冷静沈着な彼の声が、今は完全に震えていた。

水原優子は赤...

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