第48章

太田沙耶香は頭を振りながら、唇を噛んでいた。

涙が彼女の頬を伝って、ぽろぽろと落ちていく。佐藤久志を見つめる彼女の姿は、まるで可憐な子猫のようだった。

その姿は、どんな男でも心が痛み、罪悪感を覚えるほどだろう。

「ごめん、沙耶香ちゃん。私のせいだ」

「分かってるなら、どうして別れようとするの?理由が知りたい。何も分からないまま別れるなんてできないわ」

佐藤久志は彼女を見つめ、胸が痛んだ。

太田沙耶香は涙を拭うと、手を伸ばして佐藤久志の手をぎゅっと掴んだ。「理由を教えてくれない?知る権利があるわ、これは私が知るべきことよ」

「どうしても知らなきゃダメなのか?」

「うん、絶対に知...

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