第49章

愛ではなく選ばれたと知っていても、水原優子の胸は「ドキドキ」と高鳴るのを止められなかった。

ありがとう、佐藤久志。あなたの決断に感謝する。

そして、迷わなかったことにも。

おそらく妊娠のせいだろう、帰り道、水原優子はあっという間に眠くなってきた。

佐藤久志は腕を伸ばし、彼女の頭を自分の胸元に引き寄せた。「眠いなら少し寝ていいよ」

「うん」

水原優子は素直に彼の胸元に寄り添い、目を閉じた。

表面上は、彼女は穏やかに見えた。

でも彼女だけが知っている。心の中ではすでにめちゃくちゃに動揺していることを。

今日の決断が正しいのか間違っているのか、彼女にはわからなかった。

彼が本当...

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