第51章

画面に表示された情報に野口雅子は固まり、しばらく頭を垂れたまま動かなかった。

結局、彼女はメッセージに返信し、携帯電話をしまうと、虚ろな目で教科書に視線を落とした。頭の中はあのメッセージの内容でいっぱいだった。

「雅子、明後日の便で行くよ。迎えに来てくれる?会いたいな、早く会いたい」

彼女は行くだろうか?もちろん行かない。そこで相手に明後日は一日中授業があって抜けられないと伝えた。

相手はすぐに返信してきた。

「下川には午後3時過ぎに着くよ。休んだ授業は僕が補習してあげるから」

彼女がメッセージに集中していたため、教壇にいた彼がいつ自分の傍まで歩いてきたのか気づきも...

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