第59章

男は振り向き、続きを待った。

田村おばさんは笑顔で野口雅子を諭した。

「旦那さんをそんな風に呼ぶなんて。雅子ちゃん、今どきは『ダーリン』って呼ぶものじゃないの?」

野口雅子は顔を赤らめ、田村おばさんを脇へ引っ張ると、田村おばさんは気を利かせて言った。

「じゃあ、私は先に行くわ。ゆっくり話してね」

......

田村おばさんが去ると、野口雅子は勇気を出した。

「午後のダンスのクラス、休んでもいい?みんなで遊びに行く約束してたんだ!」

ヨガクラスの講師は堀川純平のことを知らなかった。中村良太が手配した人だったが、堀川純平の許可が必要だった。

「誰と?」堀川純...

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