第52章

「どうでもいいでしょ!受けたくないから!」言い終わるや否や、高橋和也の体を押しのけて早くここから離れようとしたが、思いがけず高橋和也に一気に引き戻され、壁に押し付けられた上、携帯電話まで奪われてしまった。

自分の携帯が奪われたのを見て、佐藤七海は本当に慌てた。手を伸ばして取り返そうとし、怒りを込めて叫んだ。「何するの!返して!」

しかし高橋和也はわざと腕を高く上げた。彼の187センチの身長に対し、佐藤七海は168センチにも満たない。その差は歴然で、どう頑張っても届かない。

彼は携帯の画面に表示された相手の名前をちらりと見ると、表情が急に沈んだ。疑問の口調でその名前を読み上げた。「お兄さ...

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