第11章

江崎玲子はちょっと好奇心を抱いていた。この彼女は一体どんな容姿なのか、古江直樹がこれほど可愛がり、特別な日にもプレゼントを贈り、値段も気にしないほどの人物とは。

長島健が報告を終えて出て行き、古江直樹も会議室へ向かった。江崎玲子は引き続き企画書を書き進めた。

定時間近になって、ようやく書き上げた彼女は大きくため息をつき、もう一度確認してみると、かなり満足できる出来だった。

そのとき、江崎玲子の電話が鳴った。着信表示を見ると、彼女は素早く電話に出た。

「健一君」江崎玲子の声は弾んでいた。「帰ってきたの?」

電話の向こうからは、男性の優しい声が聞こえてきた。「うん、戻ったよ。そろそろ退...

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