第28章

古江直樹は簡潔に言った。「二日間、プロジェクト視察、A市青山のプロジェクト、会計が合わない」

江崎玲子は理解した。青山プロジェクトは古江家の分家、古江直樹の叔父である古江明一が担当しているもの。会計が合わないということは、正々堂々と調査できるわけではなく、密かに調査するしかない。

江崎玲子はこれ以上何も言わなかった。

車は市街地を出て、すぐに高速道路に乗った。

部下である江崎玲子は助手席に座り、上司が運転している。彼女は少し申し訳ない気持ちになった。

道中、二人は一言も交わさず、静寂が少し重苦しく感じられた。

江崎玲子はアームレストボックスに水があるのを見つけ、話題を作ろうと尋ね...

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