第30章

二人の話題は、突然子供のことに及んだ。

江崎玲子はお腹の中の赤ちゃんのことを思い浮かべ、気持ちが一気に複雑になり、不安も感じた。古江直樹は子供が好きなのだろうか?

古江直樹は落ち着いてフルーツジュースを一口飲み、客観的に分析した。「子供というのは世界で一番面倒な生き物だ。可愛いと思うのは、子供がもたらす厄介ごとを見ていないからだ。子供は世界で一番リターンの低い投資だ。何十年も心血を注いでも、何の見返りもないかもしれない」

彼は子供が好きではない。

江崎玲子は思わず自分のお腹に手を当て、言いようのない苦さが心に湧き上がった。

彼は子供を一種の投資として見ている。

江崎玲子は強く...

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