第35章

古江直樹のこの答えに、江崎玲子は失望しなかった。

おそらく、あの時、彼は本当にそこまで深く考えていなかったのだろう。

「古江社長、少し休んでいてください。私、着替えを買ってきます」

古江直樹だけでなく、彼女自身も服を替える必要があった。血に染まったままでうろつくわけにはいかない。

古江直樹は頷き、江崎玲子の申し出を黙って承諾した。

江崎玲子は外に出た。この状況では、ブランドにはこだわっていられない。最寄りという原則で、病院の隣にある衣料品店で適当に購入した。

彼女は古江直樹のために白いスポーツウェアを一式買った。とても安く、セットでたった3000円だった。

自分用には、スカート...

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