第40章

古江直樹は心の中で少し驚き、さらに近づいて注意深く見つめた。

気づかぬうちに、彼の顔はすでに江崎玲子の顔のすぐ近くまで迫っていた。

突然、江崎玲子が目を開くと、古江直樹の端正な顔が目の前に広がっていた。月明かりが彼を包み込み、冷たい輝きを纏わせていた。

二人の距離はあまりにも近く、お互いの息遣いさえ感じられるほどだった。

江崎玲子はまばたきをして、彼の喉仏に視線を落とした。彼の喉仏が上下する様子は、あまりにも魅惑的だった。

二人の視線が絡み合うと、たちまち奇妙な空気が周囲に漂い始めた。

彼の視線は彼女の瞳から唇へ、そして鎖骨へと移っていった……

彼女の黒い髪が頭の後ろに広がり、...

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