第42章

古江直樹の携帯が鳴った。本家からの催促の電話だった。

彼は応答せず、すぐに切った。

古江直樹は江崎玲子を見た。「ああ、以前友人がここに住んでいたんだ。そうだ、君も病院で検査を受けた方がいい。会社が費用を負担するから」

こんな大きな事故に遭ったのに、江崎玲子が検査を受けようとしないのを見て、古江直樹は内臓に損傷があるのではないかと心配していた。

表面上は大丈夫そうに見えても、内臓が傷ついているかもしれない。

「はい、ご心配いただきありがとうございます」

江崎玲子は道端で車が去るのを見送り、車が見えなくなってから振り返って階段を上がった。

もう四時近くになっていたので、江崎玲子は病...

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