第60章

林澤明美は興奮して仕方なく、特に薄荷の香水を身にまとっていた。

以前から彼女はこの香りを使っていたが、古江直樹がこの香りを好むと気づいてから、再びこの香りに戻したのだった。

……

月星亭。

個室では、古江直樹がまだ月島昇と酒を飲み続けていた。飲めば飲むほど、心は落ち着かなくなっていく。

頭がぼんやりとする中、彼の頭の中は江崎玲子でいっぱいだった。自分は本当に狂ってしまったのだろう。あの女が噓つきで、他の男の子を身ごもっているとわかっていながら、まだ彼女のことが忘れられない。

江崎玲子を手に入れたいという欲望が、こんなにも強く残っている。

まったく、呪われたようだ。

古江直樹は...

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