章 21
谷涵は一瞬躊躇した。あの物が残した痛みがまだ体に残っている。体に打ち付けられた時の鋭い痛みが、自然とそれに触れることを拒絶させていた。だが、少年は数瞬後、身を屈めて傍らの藤条を拾い上げ、片手でそれを握りしめた。少し考えてから、かつて見かけた谷家の社員が父親に書類を渡す姿を真似て、両手で捧げ持ち、またしばらく躊躇った後、ついにゆっくりと腕を伸ばし、その藤条を頭上に掲げた……
玄明は受け取ろうとしなかった。彼は高みから冷たい目で傍観し、谷涵の手から藤条を取るつもりなど微塵も見せなかった……
受け取ってもらえないが、谷涵も下ろす勇気はなかった。一本の藤条がそのように屈辱的に高々と頭上に掲げられ、...
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4. 章 4
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10. 章 10

11. 章 11

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22. 章 22

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