章 39

しかし彼にはわかっていた。この瞬間から、玄明と谷涵の間から何かが静かに失われていくのだと。

そして、もう二度と取り戻すことはできないのだと。

これからは、谷涵は真に奴隷となった。彼が月光島にいる限り、玄明がどれほど庇おうとも、島のルールに従わなければならない。一歩でも間違えば、玄明が咎めなくとも、誰かが必ず躾けに来るだろう。

彼らは...もはや身動きが取れなくなっていた。

二年後。

真夏の盛り。年中温暖な月光島だが、今年は異常なほど暑く、各区域の中央空調はフル稼働し続けているにもかかわらず、熱中症で医務室に運ばれる者が後を絶たなかった。

砂浜は卵が簡単に焼けるほどの熱さだ。避暑休暇を申請でき...

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