章 813

衛生部の銀行に勤めていたところで、所詮は高給取りのサラリーマンに過ぎない。一方、趙天明は少なくとも省内で名を馳せる人物だ。ちょっとした公演をするだけで、高飛の一ヶ月分の収入を稼ぎ出す。

人脈も相当なものだ。

家や車なんて趙天明のような人間にとっては何の意味もない。権力と地位を持つ彼が家や車が欲しいと思えば、あっという間に手に入る。どれだけ多くの人が列を成して彼を助けようとするか分からないほどだ。

「こんな若い中医師?」

李蘭の叔母は呟くように言い、目には茫然とした色が浮かんでいた。

「趙先生、申し訳ありません。目が曇っていて偉い方とは気づきませんでした。どうかお許しください」

高飛は我に返...

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